伝説の湖、そして市民の憩いの場。ホアンキエム湖を歩いてみよう!

神から授かった剣を、神の使いである亀に奉還した場所であることから、ホアン・キエム(ホアン=還、キエム=剣)湖と名付けられた小さな湖

こんにちは、ベトナムナビです!ハノイの街の中心、ホアンキエム湖。朝歩けば太極拳やダンスを楽しむ人々の姿。昼に歩けばベンチに座っておしゃべりを楽しむ人々の姿。夕方になればジョギングやウォーキングにいそしむ人が出てきて、夜はまだ帰りたくない恋人たちの語らいの場となる。ここは観光のスタート地点となるだけでなく、生活に密着した市民の憩いの場。今回は、そんなホアンキエム湖を歩いてみましょう!

ちょこっとお勉強、ホアンキエム湖の歴史。

この小さな湖、元は市内東部を流れる紅河と繋がっており、水軍による演習も行われた、細長い入り江でした。17世紀ごろ、政治の実権を握ったチン氏によって彼自身の政務と遊びの場が造られ始め、その後のフランス統治時代の大規模な埋め立てを経て、20世紀始めに現在の形になったと言われています。現在の周囲は約1.8㎞。この距離が運動するにはちょうどいい、とのことで、ベトナム人だけでなく欧米人もジョギングを楽しいでいる姿が見られます。

それでは、散策開始!

南側からスタートです。いきなり、何か変わったモノを発見。石造りの塔は全体が落書きだらけ、ただ古いものであることは一目瞭然…。これは和風塔といって、1848年建立のバオアン寺というお寺の門柱です。残念ながらお寺自体は1889年にフランスによって壊されてしまい、現在は残っていません。唯一、この和風塔だけが現存する遺構となっています。ちなみにベトナム人の写真撮影スポットとして人気です。

巨像発見!

しばらく歩いていくと、右手に大きな像発見!こちら、Ly Thai To(リー・ターイ・トー=李太祖)像は高さ9m、重さ実に12t。この像、まだ新しく、2004年に建てられました。リー・ターイ・トーは、939年のベトナムによる中国からの独立後、最初に王となった人物で、タンロン、つまり現在のハノイに都を移した人物です。この像が建っている場所は公園になっていて、子供たちの遊び場や、イベントの開催場所として使われています。

あの塔はなに?

こうやって歩いている間、ずっと左手に見えているのが、湖の中にぽつんと建っている塔。こちら、「亀の塔」と呼ばれています。元々17世紀初めに当時の実力者・チン氏がここに東屋を建てたのが始まりで、その後、19世紀に湖の近くに住む華僑が遺跡の修復と称して祖先の納骨堂を建てようとしましたが、住民の反対にあい、結局この塔だけが造られたそう。
ちなみに、この塔が建てられた場所には伝説が。15世紀に、明(当時の中国)と戦い続けるも、戦況不利となっていたベトナム軍。当時のベトナムの王がレー・ロイという人物で、ある日、ある男がたまたま川で釣り上げた剣を王に献上、それを持って戦いに挑んだところ、悲願の勝利をもたらします。その後、王が小舟に乗って湖を遊覧していたところ、突然大きな亀が現れ、剣を神に返すことを要求。亀は剣を咥えると、そのまま湖に沈んでいった。さて、そのレロイ王が亀に剣を返した場所が、まさにこの亀の塔の建つ場所だと言われています。実際にホアンキエム湖には大亀が生息しており、この亀の塔のある小島に上がって日向ぼっこをすることもあったとか。最近、この大亀の健康状態が懸念され、捕獲および治療、療養が行われています。

湖畔は美術館…なのか?

いきなり母子像が出現。シュールです。いえ、母の子に対する愛情が伝わる作品ではありますが、それがなぜ、一切の説明もなくここにあるのか。謎です。

出島の上に建つ神社へGo!

湖の北側に来ました。ここで、玉山祠に入ります。こちらは関羽、呂祖、文昌帝君、そしてベトナム史上最強と謳われるチャン・フン・ダオ。元々は14世紀ごろに小さな寺がここに作られたのが始まりで、18世紀に関羽を祀る武廟が建てられましたが、その後再び寺として修復されました。19世紀後半には文化・教育活動の中心となり、文学作品の出版センターにもなりました。では、入ってみましょう!
まず最初に目につくのが、「福」「禄」の2文字と、詩文が書かれた門。学ぶことの楽しさや喜び、人材育成の重要性が書かれています。
門を入ってすぐ、左手にある塔。「筆塔」と呼ばれ、木に隠れて見えにくいですが、「写青天」と書かれています。これは、「得た知識は世間に公開すべし」という意味なんだとか。
2つの門をくぐって、チケットを購入。このチケット売り場の手前の門は、上に硯が載せられていて、旧暦5月5日に筆塔の先端の影が、この硯の上に落ちるようになってるんですって!
虎と龍の描かれた門

虎と龍の描かれた門

2つ目の門をくぐって振り返ったところ。右にあるのがチケット売り場。

2つ目の門をくぐって振り返ったところ。右にあるのがチケット売り場。

チケット料金は1万ドン
※2011年11月現在

チケット料金は1万ドン ※2011年11月現在

木造の、赤い欄干を持つ橋を渡ります。こちらはテー・フック橋。漢字で旭棲橋と書きます。なるほど、暁を思わせる鮮やかな赤ですね。橋を渡ったところでチケットのチェックを済ませ、本殿へ向かいます。
朱色の鮮やかなフー・テック橋

朱色の鮮やかなフー・テック橋

この門の下でチケットチェック

この門の下でチケットチェック

本殿に向かう道の途中で

本殿に向かう道の途中で

本殿に入ると、たくさんの像が。一番手前の像が関羽、後ろで一際輝いているのが、医学の神様・呂祖です。さらに進むと赤い仕切りが。この奥に祀られているのが文学の神様、文昌帝君です。お参りをすませ、左手にある小部屋に入ると、いたー!!大亀!!!…のはく製です。こちら、1968年に捕獲されたもの。それにしても大きい…。こんな大きな亀が、現在もまだ湖に2匹生息しているとは。驚きです。

そこかしこに見える幸せ。

さて、参拝も済ませたところで、再び歩きます。それにしても…まぶしい!じつにまぶしい!何かというと、湖畔を歩いていると、必ず目にするんです。ウエディングアルバム撮影隊を。特に春と秋は気候も穏やかなので、多くのカップルを目にします。ベストポジションでは順番待ちも出るほど。そして、そんな撮影隊を撮影する観光客や地元の人。…自分の立場になって想像すると、ちょっと恥ずかしいですね。しかし、花嫁の幸せそうな笑顔は本物!

この付近のマスト!

ホアンキエム湖のすぐ近くにあるタンロン水上人形劇場。人形のコミカルで意外に激しい動き、花火や火を使った演出など、見ていて飽きません。11世紀にはすでに市民の娯楽として定着していた水上人形劇。一度は衰退の道をたどりますが、チェコの人形劇に感銘を受けたホーチミン主席の後押しを受け復興されました。2010年10月に演目が大幅に変更されたので、ハノイリピーターさんもぜひもう一度足を運んでみてください!
◇タンロン水上人形劇場◇
住所:57B Dinh Tien Hoang, Hoan Kiem
1日6回上演(14:15/15:30/17:00/18:30/20:00/21:15開演、1公演あたり45分)
チケット料金:ファーストクラス10万ドン、セカンドクラス6万ドン(いずれも2011年11月現在)

湖付近のおすすめ休憩スポット

湖畔にもカフェがありますが、ナビの一押しはここ、カフェ・フォーコー。入口が分かりづらい上に狭いですが、臆せず入って行きましょう!3階からはホアンキエム湖が一望でき、その眺望は一級品です。
◇カフェ・フォー・コー◇
住所:11 Hang Gai
電話:(04)-3928-8153
おすすめはエッグコーヒー:3万ドン(価格は2011年11月)
ホアンキエム湖散策、いかがでしたか?ナビの知人(ベトナム人)はこう言います。「ハノイの人間は何かに行き詰ると、ホアンキエム湖へ行って、湖畔のベンチに座って休む。そうすると、頭の中がクリアになって、また頑張れる」。この小さな湖には伝説が潜んでいるだけでなく、ハノイ市民の心の支えでもあるのです。皆さんもハノイへ来たら湖畔のベンチでのんびり過ごしてみては?意外にリラックスした時間が過ごせるかも。以上、ベトナムナビでした。




関連タグ:ハノイホアンキエム湖

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2012-02-08

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