「実践、ベトナム語フレーズ」第7回~ しつこい押し売りには

ベトナムの街を散策していると、路上の物売り、バイクタクシーやシクロ(人力車)のおじさん、マッサージ店のチラシ配りのお姉さんなどから声をかけられます。これもベトナムらしさを感じる風情と言えますが、客引きがあまりにも強引・しつこすぎる場合にはきちんと「やめて!」の意思を伝えましょう。

買わないってば!

ホーチミン市のショッピングエリアにやってきました。「モトバイ、マダーム!(バイクに乗っていきませんか、マダム)」、「マッサージいかがですか、チップコミコミ。」などの各種呼び声を微妙な笑顔でクリアしましたが、ガイドブックなどを移動式で売っている売り子さんにつかまってしまいました。その場を離れても「買って買って」とついてきます。そんなときにはこのフレーズを使ってみてください。

「(トーイ)
やめて!」
「(トイ ホン ムア ダウ)
買わないってば。」

有気音はティッシュで

<路上の物売りさん:おもちゃ屋さん>

<路上の物売りさん:おもちゃ屋さん>

「Thôi (トーイ)」は、相手に何かを中断してほしい時や、自分が何かを中断する時に使います。発音のポイントは、「Th」の有気音(ゆうきおん)です。有気音を感じるための一般的な方法をご紹介します。広げたティッシュペーパーを一枚、顔の前5cm程度のところに掲げてみてください。その状態で普通に「ト」と言うと、ティッシュペーパーは揺れません。そのティッシュペーパーが揺れるよう、強い空気を伴って「ト」と言ってみてください。ティッシュが揺れれば、それが有気音です。その「ト」を使って「Thôi トーイ」と言います。声調は、上がりも下がりもしないまっすぐな音程です。

「Tôi không mua đâu. (トイ ホン ムア ダウ:買わないってば)」
のそれぞれの単語の意味は、「Tôi (私)」、「không(否定)」「mua (買う)」。「không+ 動詞+ đâu」で、強い否定となります。発音は、カタカナの「トイホンモダウ」を初めから最後まで一直線の音程で読むと、わりと近い発音になると思います。
<路上の物売りさん:風船屋さん>

<路上の物売りさん:風船屋さん>

<こんな風船も・・・>

<こんな風船も・・・>

ジェスチャー、その他の表現

断っている雰囲気は、本来態度だけで通じるものです。しかし、断っている時にもついつい笑顔になってしまうのが日本人・・・。これが「もうちょっと押せば売れるのでは」と相手に思わせている理由なのかもしれません。

ベトナムで「断る時のジェスチャー」は、片手または両手の手のひらを相手に押し付ける感じです。押し付けた手を横に小刻みに振ったりもします。日本とほぼ同じですね。

「Thôi」と言う時のジェスチャーを実演してもらいました

その他の表現として、より丁寧に断りたい場合は「
「(ヤ、トーイ)
やめてください」


と言います。「ヤ」は低い音で。
また、ついて来ないでほしい旨をはっきりと伝えたい場合は、
「(ドゥン テオ ヌア)
ついてこないで」


と言います。

使ってみたかったのですが

ご紹介したフレーズを街中で使ってみた様子を報告するのがこのコーナーのいつものパターンなのですが、「やめて!」とか「買わないってば!」と言わなければいけないぐらいしつこい押し売りにはなかなか会いませんでした。道を歩けば100メートルで3人ぐらいのバイクタクシーに声をかけられますが、笑顔で首を横に振ればあっさりとあきらめてくれます。
滞在3年間で一番しつこかったなぁと思うのは、ホーチミン市1区北にある動植物園の前で商売している売り子さんで、ポストカードやガムを売っていました。「高い」とか「ここに住んでるからポストカードはいらない。」などと言っても「助けると思って買って!」と食い下がられ、困った覚えがあります。
心を痛めるのは、花売りの子供たちについて来られる時です。5歳から15歳ぐらいの子供が、バラの花を売りに来ます。それこそ「助ける」と思って買ってあげたいところですが、実際はその売り上げが両親の酒代になっているようなケースもあるので、買えばその子を助けられるというものでもないようです。ベトナム人の中には「その子たちがその場で食べられるものをあげるのが一番いい。」という意見を持っている人もいます。

ペットボトル入り飲料水やココナツジュースの売り子さんには、手持ちのミネラルウォーターなどを見せて「もう持ってるから」の意思表示、食べ物屋さんには首を横に振りながらおなかをさするジェスチャーで「おなかいっぱい」の意思表示など、波風をあまり立てずに断る工夫もいろいろあると思います。そしていざと言う時にはきちんと「NO!」の意思表示を!それでは、また次回。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2009-04-27

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