未来へ語り継いで行くべき戦争の傷跡。平和への願いを込めて・・・
こんにちは、ベトナムナビです。ベトナムと言えばアオザイ?それともおいしいベトナム料理?その次くらいに来てしまうのがベトナム戦争でしょうか。映画のイメージもあるし、歴史の授業にも出てきたベトナム戦争。ホーチミンの街の活気を見ていると忘れそうになってしまうけれど、ベトナムは戦争が終わってまだたったの30年ちょっとしか経っていない国なんです・・・
1975年4月30日、解放戦線旗を掲げた戦車が大統領官邸に無血入場を果たしたその映像をまだ記憶に新しく覚えているなんて方もいらっしゃるかもしれません。ベトナムの南北統一をめぐっておきたこの戦争ですが、実際には南ベトナムを支援したアメリカ、北ベトナムを支援したソ連、中国など政治的戦略が背景にありました。そんな中、ベトナム国内だけで200万人近い人々が犠牲になったこの悲惨な過ちを二度と繰り返してほしくないと願いを込め、ベトナム戦争に関する写真や保管物を展示しているのがこちら「戦争証跡博物館」です。
戦車や戦闘機、本物の武器が収集されています。
1万5千ドンを支払って入場。日本語のパンフレットがもらえます。
入ってすぐに私たちを出迎えるのがたくさんの戦車や戦闘機。ここまで無造作に並べられると逆に本物のような気がしないくらい。小さい子供なら遊園地と間違えてしまうかも。
「戦争証跡博物館」には連日世界中からの観光客が訪れています。中の展示物を見る前に、こうやってここで写真を撮っている人がたくさんいます。
目を背けたくなるような侵略戦争の歴史
展示室の中に入ると雰囲気は一変、戦争の原因、経緯を追った資料が展示され、みんな熱心に見学しています。
銃口を頭につきつけられるベトナム人女性の写真や、人間の死骸をまるで物のように手づかみする米兵の写真、枯葉剤の影響で奇形になってしまった胎児のホルマリン漬けなど、目を背けたくなるようなものが展示されています。これも私たちと同じ人間が起こしてしまった歴史のひとつと思うと、目を背けてはいけないという気持ちにもなります。
「MOTHER」というタイトルの彫刻。爆弾の鉄片から作ったもので全国彫刻10周年展覧会で激励賞を受賞。ここで見るといっそう物悲しい表情に見えます。
報道陣たちのベトナム戦争・・・
ベトナム戦争の特徴のひとつが世界中のメディアによって報道が自由になされたこと。多くのカメラマンやジャーナリストが真実の姿を目指してベトナムを訪れ、命がけで残した記録の一部がここに残っています。ナビも教科書で見たことがある「安全への逃避」というタイトルがつけられた1枚の写真。戦場カメラマン沢田教一さんはこの写真でピューリッツァ賞を受賞。その5年後にプノンペンの国境沿いで狙撃され、わずか34歳の若さで亡くなりました。
また映画「地雷を踏んだらサヨウナラ」の主人公のモデルとなった戦場カメラマン、一ノ瀬泰造さんの遺品のカメラの写真もあります。
第二、第三の被害者の姿…
コンダオにあった反政府運動した人々を処刑した刑務所や拘置所、ギロチン台、政治犯がどのようにして拷問を受けたのかがリアルな模型や当時の写真で記されていて、怖いです。
20世紀初頭の革命運動弾圧に使用されたギロチン台。
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ギロチン台で最後に死刑にされた人の写真。
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恐る恐る見学している人もいます。怖がりの子供だったらここはちょっと無理かも。大人のナビでもこうやって写真を見るだけでも怖いです・・・でもこうやって戦争というものは第二、第三の被害者も生んでしまうものなのだと思うと、もう二度とそのあやまちを繰り返して欲しくないという気持ちが湧いてきます。
子供たちが書いたLOVE&PEACE
ちょっとしたおみやげコーナーもあります。ここで私がいつも買うのがベトナムの子供たちが書いた戦争と平和の絵がハガキになったもの。10枚セットで1ドルです。今日ここで買ったものは昨年(2007年)ここで買ったものとは絵がかわっていたので、定期的に作られているのかもしれません。子供が書く絵っていうのは本当に自由で表現力が豊かなんですよね~
世界中から届いた平和を望む声
ベトナム戦争中に世界中から届いた平和を望む声。ポスターや看板などが展示してある部屋。ここに来てようやく少しだけホッとすることができます。戦争真っただ中でもこうやって平和を望み主張する人がいて、その願いが届く日が来るのだから、できれば最初から戦争など起きないで、また起こさないで欲しいものですよね。
日本人報道カメラマンのコーナー
日本人報道カメラマンの石川文洋さんと中村梧郎さんの写真を常設されているコーナーがあります。ベトナム戦争には日本からも多くのカメラマンが来ていたんですね。石川文洋さんと中村梧郎さんは今も健在で、ベトナム戦争後も報道カメラマンとして、ジャーナリストとして本を出版されたり、講演会を行ったりして活躍しています。
1965年からサイゴン在住、朝日新聞出版部を経てフリーのカメラマンに。ジャーナリストとしても数多くの本を出版している石川文洋さん。
「戦争証跡博物館」はまだたったの30年ちょっと前の出来事とは思えないほど残酷なベトナム戦争の記録が残された博物館。ですが、やっぱりベトナムという国を訪れたからには見ておきたい場所の一つです。それはこの国を知るためには避けては通れない悲しい歴史の1ページであると同時に、これだけの出来事があったのにも関わらずベトナムの人々は持ち前のガッツとエネルギーで戦争という歴史を乗り越えようとしているという未来を再確認する場所でもあるからなのです。以上、ベトナムナビでした。