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日本でもどんどん使える!少数民族の伝統文化を活かした、今まで見つからなかったタイプのかわいい雑貨たち。

使える!かわいい!手仕事が生み出すほんのりエスニックの小物たち。

使える!かわいい!手仕事が生み出すほんのりエスニックの小物たち。

こんにちは、ベトナムナビです!ベトナムが60近くもの民族が暮らす多民族国家であることはご存知の方も多いのでは。彼らが生み出す、鮮やかで緻密な刺繍の施された布は、観光客を魅了してやまず、ハノイ市内でもそういった「少数民族もの」を売る店がそこかしこに軒を並べています。でも店先にぶら下げられた商品には刺繍が荒かったり、汚れていたり…というのも珍しくありません。また、確かにきれいなんだけど、日本では使いづらい…と感じる方も多いのでは?そんな中、ショップ激戦区・ハンチョン通りに、新しい風を吹き込むショップがオープンしました!

ハノイ・ハンチョン通りにオープン!

こじんまりとしたショップの中に並べられているのは、落ち着いた、柔らかい色合いの布地に、少数民族チックな刺繍がポイント使いされたバッグや小物、そしてアクセサリー、さらにお茶やお酒まで。今までよく通りで目にしたもののような派手さはなく、目に優しく、そして何よりかわいい!商品を見ていると、商品のデザインを手掛ける店長のThuyさんに「これはベトナム北西部に住む少数民族の手作りです」との説明が。山岳少数民族の間でも機械による織りやプリントが増えてきている中、ここで扱っているバッグやスカーフなどは全て、彼らの住まう地で育てられた素材を、彼ら自身の手で紡ぎ、織り、刺繍がされているといいます。
手前が商品カタログ。中身は光にあふれた雰囲気でとてもファッショナブル。

手前が商品カタログ。中身は光にあふれた雰囲気でとてもファッショナブル。

彼女から手渡された2冊の冊子。1冊は店舗で販売されている商品を紹介するカタログで、これが日本の服飾ブランドにも遜色ない出来栄え。見ていると思わずあれもこれも、と欲しくなってしまいます。もう1冊は、ベトナムの1度は失われかけたものの、見事に復活を遂げた10の伝統工芸が紹介されていた。これらの冊子は、どちらも丁寧な日本語が。『Chie』で売られている商品の開発には、日本人が関わっていたのです。

失われた伝統を、もう一度。一本一本の糸に込められた思い。

「ベトナム農村社会における社会経済開発のための地場産業振興に関わる能力向上プロジェクト」これは独立行政法人国際協力機構(JICA)により、ベトナム北西部4省で実施された地場産業プロジェクト。地域資源を活用し、環境にも配慮しながら、地域の独自性を活かした製品を作り、それによってその地域に利益をもたらすことを目的としたものです。山岳少数民族も近代化の波に逆らうことができず、国境を接する中国から、ナイロン糸などのより安価な材料、作業を楽にする機械が流入し、特に若い世代の衣装は機械織りやプリントものに取って代わられ、中には民族衣装を脱ぎ、既製服を身に着けるようになってしまった人も多くいます。製作に手間がかかるうえ、利益の見込めない伝統産業は見捨てられつつありました。
ハノイから車で約5時間、ホアビン省マイチャウ。

ハノイから車で約5時間、ホアビン省マイチャウ。

ターイ族が住むこの地にJICAが支援する組合の一つチエンチャウ組合があります。

ターイ族が住むこの地にJICAが支援する組合の一つチエンチャウ組合があります。

世代を超えて受け継がれてきた伝統が、消え去ってしまう・・・このような事態を危惧した地元人民委員会と有志たちにより、伝統工芸を再興させるべく生産組合が結成され、それをJICAが支援することに。「昔ながら」を頑なに貫くだけでは製品の販路拡大は難しく、結局製作者である彼らと彼女らの生計向上には結びつかないのです。
マイチャウにあるアンテナショップ。店に裏手には作業所が。

マイチャウにあるアンテナショップ。店に裏手には作業所が。

地場産業振興プロジェクトのロゴ。

地場産業振興プロジェクトのロゴ。

伝統を活かし、かつお客様に喜んでもらえるものを。そこで、まずは生産技術を向上させることからスタート。縫製技術、デザイン通りの型紙の起こし方、さらには外国人が好むカラーリング及びカラーマッチングについて助言を行い、続いて会計や生産計画、マーケティングのノウハウなどについての指導が行われました。少数民族が施す刺繍の文様ひとつひとつには、意味が込められていたのですが、近代化の進む中で、忘れ去られていきました。それが、こうした動きの中で復興されたものも。紡ぎや織り、染めの技術だけでなく、両手で生み出されるものに込められた「願い」や「思い」も若者たちに受け継がれています。
村内の高床式住居の床下ではターイ族の女性たちの手仕事を目の当たりにできます。

村内の高床式住居の床下ではターイ族の女性たちの手仕事を目の当たりにできます。

酵母を使用した野りんごワインや、有機栽培のお茶、さらには大人二人でも抱えきれないほどの大木から採れたお茶など<JICA地場産業振興プロジェクトオフィスにて>

酵母を使用した野りんごワインや、有機栽培のお茶、さらには大人二人でも抱えきれないほどの大木から採れたお茶など<JICA地場産業振興プロジェクトオフィスにて>

支援を受けて作られた商品はいくつかありますが、中にはモン族によって収穫された野リンゴを使用したお酒も。こちらは地元の企業が製造を始め、JICAによる支援を通して製造に天然酵母を使用するようになってから格段に味が向上したもの。こうして作られた商品は、展示会などでも高い評価を受け、その競争力を裏付けました。観光客の多いハノイのハンチョン通りに店を構えたのは、「多くの人に彼ら・彼女らの手仕事を知ってもらうため」。2009年から3年に渡って続けられてきたJICAの支援は今年(2011年)で一旦終了し、今後はベトナム人の手に完全に委ねられることになります。

新しい風を吹き込みながら、地元の人々の手で守られていくもの。

『Chie』の店内。伝統の手仕事がアクセントになったバッグなどが並んでいます。

『Chie』の店内。伝統の手仕事がアクセントになったバッグなどが並んでいます。

「伝統は放っておけば失われるもの。誰かが守るということが大切なのであって、日本人が関わっているということが前面に出てはいけない。あくまで地元の人が地元で採れたものを使って手で紡ぎ、織り、染め、刺繍を施す『伝統文化』が主役」とJICAのプロジェクトスタッフは語ってくれました。
ストールは優しい色合いのものから、鮮やかなものまで。お気に入りの1枚を。

ストールは優しい色合いのものから、鮮やかなものまで。お気に入りの1枚を。

伝統的織物をポイント使いしたぬいぐるみは、お子様のお土産にも。

伝統的織物をポイント使いしたぬいぐるみは、お子様のお土産にも。


「伝統文化、それは目に見えない、ともすれば簡単に消えてしまう、『おばあちゃんの知恵』。その知恵を使った商品がありますよ、という意味で、店名は『Chie』。それに2音節の店名なら覚えやすいでしょう。」北西部少数民族の手仕事は大事な人へのお土産にもぴったり。ハノイにお越しの際は是非立ち寄ってみてください。以上、ベトナムナビでした。

記事登録日:2011-10-11

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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

スポット登録日:2011-10-11

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