ホーチミンの中華街は日本とは一風変わった雰囲気。多くの華僑が住む雑多とした町並みを散策してみるのが面白い
こんにちは、ベトナムナビです。ホーチミンの主要観光エリアは主に1区。統一会堂やベンタイン市場がある界隈ですね。しかし、今回紹介するのは1区と同様に観光エリアとして人気の高い「チョロン」です。日本でも馴染み深い中華街のようですが、ちょっと雰囲気が違う様子。今回はベトナムの中華街をご紹介したいと思います。
歴史と現在
チョロンが形成されたのは18世紀後半。中部に住む彼らの祖先である華人達が南部ホーチミンに流れ込んできたのが始まりとされています。全盛期では120万人強いた華人も中越関係が悪化するたびに近隣国に逃げていったため、その時代によって華人人口にはかなりの波があったようです。チョロン地区には現在も50万人以上が住んでいるとされています。旅行者にとってはベトナムの雰囲気とはまた異なるもう一つの顔として、人気の高い観光エリアの一つに挙げられています。
卸売市場と問屋
チョロンには1区で見かけるお洒落な雑貨ショップや市場はありません。通り沿いにあるお店のほとんどは問屋で、市場も業者仕様の卸売となっています。ですのでホーチミンでお店を営む人は、ここで商材を調達します。ただし旅行者にとってはその雰囲気、その光景が新鮮そのもの。小綺麗な1区とは全く異なる空気が漂い、お店が隙間なくひしめく様子はまさにカオスです。ショッピングに意気込むのではなく、華人とベトナム人が共存する異色の雰囲気を楽しんでください。
旅の必需品
ガイドブックチョロン滞在時間のほとんどは町歩きに費やすことでしょう。そのため、自分がどこにいるか、次の目的地への歩き方などを常に把握しておかなければなりません。チョロンといっても範囲は広いので、次に行きたいスポットが実は歩いてはいけない場所、なんてこともありえます。また、チョロンの名物市場の「ビンタイ市場」。1区にある「ベンタイン市場」と名前が似ていますね。タクシーの運転手に告げるとき、口頭だけだと間違われて、ベンタイン市場に向かってしまうかもしれませんよ。写真及びマップ付のガイドブックは必須アイテムです。
ミネラルウォーターチョロンには1区で見かけるようなお洒落なカフェはありません。しかもそのほとんどは冷房が効いていないカフェばかりなので、日中は暑さ対策と共に、マメな水分補給が必要です。冷たいミネラルウォーターを二本、三本バッグに入れておきましょう。
交通アクセス
チョロンまで行く方法は主に2つ。
1つはローカルバスです。
ベンタイン市場前にあるバスターミナルから1番バスに乗り、最終ビンタイ市場前まで所要時間は約30分から40分。
2つ目はタクシーです。
1区中心から約20分から30分程度で到着します。タクシーの場合は目的地を告げなければならないので、通りの名前ではなくスポットを伝えましょう。おすすめはビンタイ市場、もしくはチョロンバスターミナルです。チョロン観光の拠点であり、中心でもあります。
チョロンの範囲
チョロンは住所表記に使われる正式名称ではなく、通称となります。「Cho=市場、Lon=大きい」つまり「大きな市場=チョロン」なのです。その範囲は5区が主ですが、ビンタイ市場は6区になるため、「5区+6区の一部」がチョロンの範囲となります。とは言え5区もとても広いです。基本概念としては、お店の看板に漢字表記が目立ってきたり、道が小汚なくなってきたら、そこらへんからチョロンとなります。
このように、チョロンには明確な範囲、区切りはありませんので歩く際は、最初に拠点を決めることが大切です。
食事はNG
チョロンでは1区ではなかなか食べられない中華系料理を食べることができます。しかし、屋台はもちろんローカル食堂でさえ衛星に問題があるため、食べたらお腹を壊してしまう可能性が高いです。もし中華料理を食べたいのであれば、見た目が清潔なちゃんとしたレストランに足を運びましょう。上記でも説明したように、チョロンには室内カフェが少ないのでトイレに困ります。屋台や食堂での食事はベトナム旅行の醍醐味でもありますが、くれぐれもお腹を下さないように注意してください。
ひったくりに注意
チョロンはホーチミン市の中でもひったくりが多い危険地域です。市場はもちろんのこと、人気のないような路地も要注意です。後ろからバイクでバッグやポーチをひったくるのがベトナムにおいての常套手段。大金は持ち歩かないこと、バッグは肌に密着させること、ひったくられた場合は無理においかけたり抵抗しないことが重要です。
万が一ひったくり含む事件に巻き込まれた場合は、領事館に駆け込みましょう。
チョロン玄関口
アンドン市場アンドン市場は5区入口にあるビル型の卸売市場。漢字表記の看板はまだ少なく、ベトナム独特の屋台や露店商などのローカルな雰囲気が続きます。アンドン市場は食堂フロアと問屋がひしめくフロアに分かれています。衛星に問題があるため、ここで食事をするのはおすすめできません。また売られている雑貨は主に服飾関連。1区にある市場やショップよりも何割か安いので、洋服やバッグなどを買いたい場合はこちらがおすすめです。また、アンドン市場はチョロンの入口としましたが、ここから中心(ビンタイ市場界隈)までは遠くて歩くことはできませんので、さらにタクシーでの移動が必要となります。
食堂エリア。現地人の生活風景が見える
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大きな袋に服飾雑貨を積める商人が行き交う
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値段は1区と比べるとリーズナブル
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雑貨も多少は置いてあります
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チョロン中心界隈
アンドン市場からさらに西進むと、大きなロータリーが見えてきます。その中央に位置するのが「チョロンバスターミナル」。目立つのでここを旅の拠点としてみてはいかがでしょうか。ちなみにビンタイ市場までは徒歩3分程度です。またバスターミナルのすぐ傍には緑豊かな公園があります。疲れたときはこちらのベンチで休んでください。
ビンタイ市場バスターミナルから徒歩3分程度歩いたところにあるのがホーチミン最大級の規模を誇るビンタイ市場です。ベンタイン市場と異なり卸売市場なので、しつこい売り子はいません。仕入れ業者が行き交い、値段交渉のやりとりをあちらこちらで見ることができます。また、市場外周も見所です。野菜や果物、乾物などの食品系を扱う露店が数百に渡って並んでいます。外国人観光客も多いのでシクロやバイクタクシーもこの付近に多数出没しています。チョロン観光のメインスポットとなるでしょう。また歩いて3分から5分程度のところにあるキムビエン市場もおすすめ。こちらは比較的下町ナイズされた生活用品が揃っています。
チャータム教会別名フランシスコ・ザビエル教会。1900年創建された100年以上の歴史を持つカトリック教会です。時間によっては併設された幼稚園から多くの園児が教会敷地内に飛び出してきます。中華街には似つかわしくない西洋風の光景ですが、これもチョロンの名物。中華と西洋が入り乱れる建築物もお見逃しなく。
チャータム教会の名物は教会内最奥部にある十字架に磔にされたイエスと最後の晩餐の絵画。頭上に潜む大きな鳥にも注目してください。
天后宮1760年創建の由緒あるお寺。とはいっても仏教寺院ではなく、基本は道教。ベトナムでは仏教と道教が混在しているのが普通。祀られているのは天后聖母で、こちらは中国発祥の道教の女神です。敷地内頭上には螺旋状の線香が何十と吊るされてあり、中国文化が根に張っていることを現しています。毎日参拝客が絶えない華人向けのお寺です。ちなみにテト正月近くになると、敷地内で獅子舞の稽古を行っている光景を見ることができます。
天后聖母と漢字で表記されている
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絵画も中華系ではお馴染み
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螺旋状線香はお寺や集会所でも見られます
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道教の女神である天后聖母
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オンラン會館天后宮の斜め後ろにある會館。會館と言えば華人の集会所ですが、ここには仏教の観世音菩薩や道教の天后聖母など計16体の神が祀られています。線香を持って参拝に来る人が絶えず、一体一体に頭を下げる仏教徒を見学することができます。中には西遊記に登場する孫悟空のような像もあります。天后宮と一緒に訪れるのがベストです。細い路地が入り組んでいるので、道に迷わないようにしましょう。
敷地内には小さな池も
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中国風ですね
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熱心に参拝に来る仏教徒
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この像はもしや……
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チョロン中心の通り
Le Quang Sung通り(プラカゴ&ビニール)バスターミナルの正面向かいの通りです。この付近でタクシーから降りた場合、この道からチョロン観光がスタートします。プラカゴや業務用のビニール製品を扱う問屋が並び、旅行者にとってはプラカゴがお土産どころ。可愛らしいカゴは数百円ととても安く、旅行者の間でも人気があります。
プラスチック製品もあります
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プラカゴは日本人女性に人気があります
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どれも安いです(^^)
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こちらは業務用。カフェやレストランを営む方はここで仕入れるようですね
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Trang Tu通り(果物市場)バスターミナルに接しているTrang Tu(チャン トゥー)通りは果物を扱う露店が並ぶ青空市場です。そのときどきで変わる旬な果物が並び、ナビが行ったときはドラゴンフルーツやバナナ、オレンジなどが豊富でした。果物を買って食べ歩きをするのも旅の楽しい歩き方ですね。購入時はグラム単位で購入するため、騙されないように自身で量りを確かめましょう。
賑わう午前中がベスト
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大量のアセロラ。ビタミンCが豊富です
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すべて量り売りで購入します
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東南アジアの名物果物が揃っています
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Nguyen Trai通りグエンチャイ通りはチョロンの目抜き通りの一つ。1区のホテルニューワールド前のロータリーから続く非常に長い道です。幅広い道路には現地人の暮らしの風景を見ることができます。チョロンらしい町並みで、特に注目したいお店はないものの、チョロンの下町情緒を感じたい方にはおすすめです。
のどかな風景ですね
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露店も多くいます
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やはり漢字表記
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1区とは異なる雰囲気です。これも中国文化との共存ですね
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バイク修理&ジャンク品通りPham Huu Chi( ファムフーチ)通りとDo Ngoc Thanh(ドーゴックタン)通りの十字路通り沿いに軒を連ねるお店はすべてバイクの修理店、もしくはジャンク品を売るお店です。ベトナム人にとってバイクは生活に必要不可欠の財産。一台を10年以上乗り続けるのは当たり前です。ですので常に部品を交換したり、修理をしなければなりません。旅行者にとっては買い物するものはありませんが、ベトナムだけに見る特有の光景なので、必ず散策したいところです。
毎日日暮れまで人込みで溢れています
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ベトナムの独特の雰囲気が漂っています
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狭い通り沿いには何百というお店があります
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近くにはトゥアンキウ・プラザがあるので、それを目印に進んでください
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Trang Hung Dao通り周辺(布問屋街)チャンフンダオ通りは1区ベンタイン市場から続く長い通りで、グエンチャイ通りと並ぶチョロンの目抜き通りです。チョロンを走っている通り沿いには布を扱う問屋が並んでいます。アオザイやワンピースなどの生地となりますので、ここで買って1区の専門店でオーダーメイドをしてもらうのもおすすめです。何メートルもロール状に巻かれた生地を扱う様はとてもエキゾチックな光景です。
皆さん真剣に生地を選んでいます
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ロールに巻かれた多様な生地
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もちろん既製品も売られています。しかしメインはオーダーメイド
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なんかトルコや中東などを豊富させるエキゾチックな風景です
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Phung Hung通り(文房具通り)フーンフン通りはチャンフンダオ通りと交差する通りで、この道沿いには何十の文房具ショップが並びます。付近に学校があることから学生が多く行き交うのが特徴。また、ガイドブックにも掲載されているオーダーメイドの印鑑を作ってくれる「富記」があるのもこの通りです。皆さん大らかな人で、買わずとも会話が弾むはず。チョロンの人々との交流を楽しめるいい機会となるでしょう。
心優しい人々
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通りは学生が行き交う
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なぜか鍵屋も多い
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学生御用達の露店も多く出没
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マップで場所を確認
チョロン郊外
ダムセン公園チョロンよりさらに西へ行くと、ダムセン公園と呼ばれるアミューズメント・テーマパークがあります。現地人の憩いの場所として親しまれていて、日本の遊園地とはちょっと雰囲気が異なります。皆さんピクニック気分で訪れるため、芝生でシートを広げて生春巻きを頬張っているファミリーを見かけます(笑)とは言え遊園地なのでジェットコースターやお化け屋敷、観覧車などの基本的なアトラクションは揃っている他、サボテン園やゾウ乗り体験、ローラースケート広場などもあります。1日いると飽きてしまうかもしれませんが、半日であればお子様連れのファミリーにはおすすめです。
うーん、ちょっと迫力ありそうですね…
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氷の王国もあります。ひんやりしていて休憩には丁度いいです
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多種多様のサボテンがたくさん植えられています
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ゾウ乗りはタイだけではありません!
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覚林寺覚林寺はホーチミン市最古の仏教寺院と呼ばれている歴史深いお寺です。チョロンから北上したところに位置しているため、移動はタクシーを使いましょう。見所は敷地内に鎮座している大きな白い仏像。そして寺院内に安置されている観音像。250年以上の歴史を感じさせてくれるには十分な威圧感と荘厳な雰囲気があります。内部は閉まっていることもありますが、僧侶に頼めば開けてくれます。
敷地内は芝生の広がる公園にもなっています
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白い巨大な大仏
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本堂です
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幾多の仏像は他の寺院とは歴史の重みが違います
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チョロン番外編:ロケ地巡り
チョロンは1992年にイギリスとフランスの合作映画「愛人/ラマン」の舞台にもなりました。フランス人少女と華僑の青年の恋愛を描いた作品で、知る人ぞ知る名作です。舞台になった学校や華僑の青年がいるサータイ市場は現在でも残っており、ラマンを観て感銘を受けた外国人旅行者は今でもロケ地巡りをする人が多くいます。
サータイ市場です
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ここで少女と青年は激しく愛し合います
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少女の通う学校
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現在は名だたる進学校です
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いかがでしたか。旅行会社のツアーでもチョロン観光は定番コースです。散策のコツは「マップを確認しながら効率よく回ること」です。今回ご紹介した道全てを回ろうと思わず、惹かれた場所のみピックアップしてその周辺を散策するのをおすすめします。
以上、ベトナムナビでした。